翻訳メモリー・翻訳ベンチの仕組み
翻訳メモリー・翻訳ベンチのような翻訳ツールを使いながら翻訳を行うと、センテンスごとに原文と翻訳された訳文がペアとなって、コンピュータに記憶されていきます。例えば、日英翻訳であれば、原文の日本語の1センテンスとそれを訳した英語の1センテンスがペアで記憶されることになります。
※ 蓄積された翻訳情報は「対訳データーベース」と言われることもあります。
そして、翻訳を進めるうち記憶している原文のセンテンスと一致するか似ている文が出てくると、過去に行った訳文を自動的に表示します。
完全に過去の翻訳と同じセンテンスについては、新たに翻訳することなく、過去に翻訳済みの訳文を簡単に流用することができます。完全には同じではないが、似ているセンテンスについては、違う部分だけ手直しするということになるので、1から翻訳するよりは効率が良くなります。翻訳メモリー・翻訳ベンチにおけるマッチ率
と、いうことで、翻訳メモリー・翻訳ベンチを導入することで翻訳効率がどの程度アップするかは、どの程度同じセンテンスが繰り返して出てくるか、あるいは類似のセンテンスが含まれているかにかかっています。
● 翻訳メモリー・翻訳ベンチのような翻訳ツールの使用が適しているケース
類似する文が頻繁に現れるような大規模な文書の翻訳や将来的に改版が予定されている書類の翻訳での使用に適しています。また、複雑なフォーマットの書類の翻訳にも活用できます。
● 翻訳メモリー・翻訳ベンチのような翻訳ツールの使用が適していないケース
逆に、似たようなセンテンスが少ない場合、このツールを使うと、かえって翻訳効率が低下することが多いため使用は適していません。 ちなみに、翻訳会社ソリュテックでは、10年ほど前にTRADOSを導入しましたが、現在では、通常の翻訳では翻訳効率がダウンするため使用していません。 登記簿謄本の翻訳(登記簿翻訳)のような繰り返しが多い翻訳でのみ使っています。
日本語と英語などの欧米系の言語との間の翻訳では使いづらい
日本語と英語などの欧米系の言語との間の翻訳では、必ずしも1センテンスが1センテンスに翻訳される訳ではなく、更に、センテンスの位置自体が上下する場合が多くあります。このため、一旦、不自然であっても1センテンスが1センテンスに対応するよう翻訳を行い、それで翻訳メモリー・翻訳ベンチに記録するデータを確定し、その後、翻訳メモリー・翻訳ベンチから離れて最終的に自然な訳文となるよう仕上げを行う必要があります。
TRADOS | 代表的なツールであるが理解に苦しむほど高価。TransAssistなどの競合製品との競争を通じ適切な価格になることを希望する。 ※ TRADOS社はSDL社に買収された。これにより、TRADOSは、SDL社のTRADOSと類似した製品であるSDLXと統合される途上にある模様。と、言っても、それによってユーザーに大きなメリットがあるとは考えづらいのだが・・・乞うご期待という所なのか、とりあえず行方を見守ることとしよう。 |
TransAssist | TRADOSと高い互換性を持つ国産ツール 試用してみたが、まだ、細かい問題が色々ある。しかし、TRADOSと比較すると低価格なので、TRADOSまでは必要としない翻訳者には良いと思われる。 |
PC-Transer | PC-Transerは機械翻訳ソフトであるが、翻訳メモリー機能も持っている。 TRADOS より動作が遅くマッチング精度も悪い。 |
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